統括事業部長の中山さんは、はなふさ、生産者、飲食店、関わる全ての方が豊かになる経営を目指しています。時には肉の魅力を伝えるインフルエンサーとして、Instagram上でのブランディングも行なっているんだとか。中山さんの投稿だけで、一頭丸々のお肉が売れることもあるそうです。様々な方法ではお肉の魅力を伝える中山さんに、はなふさのこれからを聞いて行きます。
―中山さんの仕事内容を教えてください。
私ははなふさの統括事業部長として、社長との経営会議から、営業、仕入れ、企画、若手教育と幅広い業務に携わっています。
―かなり幅広いですね。それぞれの業務ではどのようなお仕事をされるんですか?
営業業務は県外の飲食店に伺い、当社の取り扱うお肉の商品説明をします。仕入れは目利きが重要なので、社長と私の担当です。社長が神戸、私が鳥取・島根の市場で肉を仕入れています。
企画業務ではデザインを行う部署と協働し、お肉のカタログの作成、ECサイトで取り扱っているアパレル製品のデザイン、ECサイト内のキャンペーン企画などを行います。若手教育は主に同行営業をします。上司として経験の浅い社員と一緒にお客様先に伺います。あとは個人のInstagramアカウントを活用した営業も行っています。
―SNSを使った営業は珍しいですね。どのように活用しているんですか?
今の時代、スマートフォンを使えば誰でも綺麗な写真を撮ることができるので、Instagramに様々な写真・情報を投稿しています。投稿している写真は、お肉の写真だけではありません。当社のお肉を取り扱っている飲食店の写真を投稿し、文章でお肉の紹介をするような工夫もしています。
―お肉のインフルエンサーなんですね。そこからの問い合わせは多いですか?
毎週1、2件はお客様から問い合わせがあります。すごい時だと、投稿してすぐに一頭分のお肉が売れました。顧客からの問い合わせにすぐ対応できるように、Instagram以外にもLINEを活用しています。LINEではこちらからの案内以外に、先方から商品の問い合わせが来るので、当社で扱っている商品の写真を送って、肉の血統・月齢などの情報とオススメする理由をお伝えしています。
最近は新型コロナウィルスの影響で県外への移動が自粛されておりますので、一層InstagramやLINEの活用が増えました。このスマートフォン一台で月に1000万円以上の売り上げがあるんですよ。
―すごい成果ですね!なぜSNSの活用を始めたんですか?
始めた理由は悔しさからです。昔は誰も万葉牛のことを知らなかったので、営業してもなかなか売れず、中には話も聞いてもらえず門前払いなんてこともざらにありました。それが本当に悔しくて、まずははなふさのこと、万葉牛のことをもっと知ってもらうための行動をしようと思い、SNSに目をつけました。
具体的には都内で万葉牛を取り扱っている有名店さんと協力し「#万葉牛」という投稿を流行らせようとしたんです。有名店がこのハッシュタグを投稿していれば万葉牛に興味持つ方も増えますし、ハッシュタグが流行ればお店にも注文が入ります。私たちにも、お店にもメリットのある作戦です。この戦略によって次第に万葉牛の認知度が上がり、営業に来てほしいという問い合わせも増えました。
―ブランディングに成功されたんですね。なぜはなふさに入社されたんですか?
出身は鳥取ですが、入社する前は大阪の飲食店で働いていました。その時に同郷の妻と婚約したんですが、妻の両親から出された結婚条件が鳥取に戻って来ることだったんです。
しかし、鳥取には仕事のつても何もない状態で途方に暮れていました。その状況を心配した飲食店の社長が、はなふさを紹介してくれたんです。はなふさの社長は快く私を受け入れてくれて、とても感謝しましたし、社長の顔に泥を塗らないように一生懸命働こうという気持ちで入社しました。そこから10年経ちましたが、今の私を育てて来れた社長への恩義は忘れていません。
―熱心に働いているからこそ、様々なアイディアが出て来るんですね。どんなことにこだわって仕事をしていますか?
生産者、飲食店、私たち卸売、その全てが豊かになる「三方よし」の経営を目指しています。この3つの立場はそれぞれ利益相反の関係なんです。生産者は大切に育てたお肉を高く売りたい、でも卸売業者は安く買いたい。そして卸売業者は飲食店に高く売りたいけど、飲食店は仕入れ値を抑えたい。3つの立場がそれぞれ逆のことを考えています。会社単体の利益を考えれば当たり前に聞こえますが、当社の場合は生産者が丹精込めて育てたお肉を安く買い叩くようなことは絶対にしません。
私たちは生産者から高くお肉を買い、飲食店にもある程度の値段で売るようにしています。飲食店にもただ高値で売るのではなく、高値でもお客様から注文が入り、利益をだせるように、お肉に込められた想いや特徴、ブランディング戦略などを一緒に考えます。この考えを理解してくれる生産者、飲食店の方はとても多いんです。生産者の方と一緒に食事に行くと、飲食店の方もとても喜んでくれて、そのまま3人で朝まで語り合ったりすることもあります。
―強固な関係性を築いているんですね。ここまで取引相手に寄り添った経営の仕方は珍しいんですか?
かなり珍しいやり方だと思います。大手のお肉屋さんの場合、生産者と直接会って想いを聞いたり、一緒に販売戦略を立てる機会は少いですし、通常は生産者と飲食店が直接繋がることもほぼありません。私たちの独自の価値観を共有してくれる、生産者や飲食店の仲間がこれだけいるのはすごいなと感じます。
―それだけはなふさの方針が評価されているんですね。生産者の方々と関わる時に大切にしていることはなんですか。
生産者のことを一番理解し、一番信じています。その想いがあるからこそ、熱を持って仕事に取り組めるんです。基本的にはなふさの取り扱うお肉は安くないです。でも値段に見合うだけの価値あるものだと思います。だから生産者の想いをどれだけ伝えられるか、それが手腕の見せ所だと思っています。
―次に、営業の魅力を教えてください。
営業の仕事は、0から1を作ることができるのでとても面白い仕事です。営業で知らないお店の扉をくぐった先に、想いに共感し、一緒にブランディングを行い、豊かさを共有する未来の仲間がいます。今まで出会った取引先の方とは古い友人以上の関係性になれました。そうした人の縁を繋いで行くけることが営業の醍醐味だと思います。
―最後にメッセージをお願いします。
この会社はとても未来のある会社だと思います。だからこそ、やる気の溢れた方に入って来てほしいです。鳥取にとって、畜産などの一次産業は経済を支える産業の一つです。そこを盛り上げているはなふさの仕事はとてもやりがいがあります。そして鳥取のお肉を武器に、日本中で勝負ができる、そんなスケールの大きい仕事を経験できます。はなふさが日本全国で活躍する未来を想像して、ワクワクした方はぜひ当社に来てください!