一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー

島根県 益田市

困った人の心の拠り所を目指して

1年目 大庭さん

一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー(ユタラボ)では、多様な価値観の共生を掲げています。今回お話を伺った大庭さんも自分の考え、価値観をしっかり持ち、自らの足で実現したい未来に向かって歩み続けている方です。移住者でもある大庭さんがなぜ益田に生活を移すことを選んだのか、この街でどんな取り組みをしているのかなど、ユタラボとして、個人として描く未来を教えてもらいます。


 

―ユタラボには様々な業務がありますが、その中で大庭さんの担当されている仕事内容を教えてください。

私は企業連携の仕事を主に担当しています。具体的には市役所からの委託事業である「ますだのひと」というメディアの運営です。「ますだのひと」では益田市内の企業、働く社員の紹介をしています。メディアに掲載する記事作成のため、いろいろな企業を訪問させていただいて取材を行なっています。他には市内の高校で、先生方と協力しながら総合的な授業の企画やユタラボで行う事業など、市役所との連携構築を行なっています。

―「ますだのひと」は素敵な記事が多いですよね。

「ますだのひと」は企業ではなく、人にスポットライトを当てたメディアです。そのため、企業人としての側面だけでなくプライベートの顔も見えるように心がけています。様々な人が大切にしている考え方や価値観を、仕事とプライベートの両面から紹介することで、益田に息づく多様な価値観を共有できるメディアを目指しているんです。



―多様性というのが1つのテーマなんですね。

その通りです。価値観や考え方は人それぞれで全く違います。ユタラボではそんな多様性の違いを楽しみながら、みんなが自分の願う未来を描き、進んでいく。そんな街を創ることを目標にしています。

―目指しているまちづくりへの取り組みとして、ユタラボのオフィスで様々なイベントを開かれていますよね。このオフィスはどんな役割を担っているんですか?

ユタラボのオフィスは仕事や学校以外に、自分らしく過ごせる居場所”サードプレイス”を目指して設立されました。自分らしく過ごせる居場所はとても重要です。例えば、私みたいな移住者の場合、住民の方とうまく打ち解けられないといった悩みがあります。だから誰でも参加できて、立場関係なく交流できるようなイベントをユタラボオフィスで開催しています。



―大庭さんは移住されたんですね。なぜユタラボに入ったんですか?

私は地元が静岡、就職先が東京だったので、益田市と接点はありませんでした。関わりを持つようになったきっかけは、私がプライベートで開催していたイベントです。偶然イベント活動について、益田市の教育係の方に紹介する機会をいただいたんですが、初対面の私に「その取り組みすごくいいね!」と応援してくれたんです。それがとても嬉しく、初対面の人にも寛容な益田市の方々に対してとてもいい印象を抱きました。

そこから教育係の方と仲良くなり、益田に住むいろんな人を紹介くれました。その中で、現在の代表である檜垣と出会うことになります。そして、まちづくり・ひとづくりの団体を立ち上げるから一緒に働かないかと誘われ、思い切って益田に移住したんです。

―移住前から少しずつ益田の人々に惹かれていたんですね。でも東京からの移住はかなり大きな決断だったんじゃないですか?

東京では大手建築メーカーで勤めていましたし、高い給料ももらっていたと思います。しかし、この会社に勤めることに疑問を感じていたんです。営業では日々数字だけを追いかけ、周りには頼れる人もおらず、自分はなんでこの会社に勤めているんだろうとモヤモヤした日々を過ごしていました。

そんな時にユタラボに誘われて、仕事だけじゃなく自分を表現できる居場所、いわゆる”サードプレイス”づくりに興味があったので、益田で取り組めるならば、今このタイミングで挑戦するしかないと思ったんです。



―いつ頃からまちづくり・ひとづくりに興味を持っていたんですか?

明確にまちづくり・ひとづくりへ興味を持つようになるまでにはいくつかのステップがあります。まずは、実家での経験です。実家は建築工事における、窓サッシなどの金物製造・取付けを行っている会社で、学生時代にアルバイトをしていました。その時に私たちが建築した建物をきっかけに人が集い、楽しい瞬間を共有するのを見て、とても幸せな気持ちになりました。その時、まちづくりに魅力を気付いたんです。

―学生時代に興味のタネを見つけていたんですね。

そうですね。もう一つ大きなきっかけになったのは、社会人になってから出会った「生き方見本市」です。話し手がそれぞれの考え方や体験したことを語り合うイベントで、そこで話している人たちはどんな肩書きでも、どんな価値観を持っていて、どんな人生を送っていても関係なく語り合います。そこでは、みんな自分に自信を持っていて、自分もこんなかっこいい生き方をした大人になりたいと思ったんです。そこで、自分でもイベントを開催するようになり、いろんな人に出会う中で、まちづくり・人づくりへの興味を持ちました。

―そうした様々な思いが今につながっているんですね。ユタラボが今後目指すビジョンを教えてください。

ユタラボで行なっている事業を、より多くの世代に知ってもらいたいです。今までの活動によって、アクションを起こす高校生は増えて来ているんですが、大人の新たな挑戦はまだまだ足りません。大人が生き生きと楽しんでいる姿は、子供にもいい影響を与えます。楽しんでいる大人の姿を見ることで、何か新しいことに取り組むこと、益田で生きることを楽しく感じるはずです。

だからこそ、大人が仕事以外でも活躍できるようなイベントや取り組みを増やし、生き生きとした大人が生まれる風土を形成したいと思います。



―大庭さん個人ではどんな未来を思い描いていますか?

いろんな人にもっと益田の人の寛容さ、温かさを知ってもらい、益田にまた行きたいと思って欲しいです。そこで益田を訪れた人と住民がつながるようなツアーやディレクションなどのサポートに取り組んでいます。

―実際にそうしたイベントを開いた反響はありましたか?

私が住んでいる鎌手という地域は昔ながらの漁師町で、人を多く招き入れるようなイベントは嫌煙されがちな場所でした。それでも、私が移住してから地区住民みんなが参加できるご飯会を開いたんです。結果的に、多くの方々から「大勢で集まるのも楽しいね」というお声をいただけました。

― 一歩ずつ変化が起きているんですね。

私は大人にも好きなこと、やりたいことって絶対あると思うんです。でも好きなこと、やりたいことばかりはしてられない、挑戦してみたいけど失敗したら怖いという先入観に縛られている人が多い気がします。だから私が旗振り役として率先して挑戦し、楽しみ、みんなを巻き込むことで「こんな風にすればいいんだ」と思ってもらい、どんどん好きなこと、やりたいことに挑戦する人を生み出していきたいです。

―ユタラボの考えと大庭さん個人の考えに繋がる部分は多いですね。

そうですね。先ほどサードプレイスとしてのユタラボの役割を紹介しましたが、私個人としても場所に縛られず、困っている人の拠り所になる”サードパーソン”を目指しています。家族や仕事以外の時間に、大庭に会いたいなと思えるような存在になりたんです。。僕は特に面白いことを言って笑わせるようなタイプじゃないんですが、真面目なタイプだからこそできることや頼ってもらえる部分もあると思います。

―これからのユタラボ、大庭さんの取り組みがとても楽しみです。ありがとうございました。

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