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教えて先生!~仕事にまつわる 9 の質問~

就職活動、働く環境、将来のキャリア…「はたらく」を考えると、様々な疑問が浮かんできます。「自分の選んだ会社は本当にいい会社なんだろうか?」「周りの人がすごく見えて、自分に自信が持てない」「やりたい仕事ってなんだろう?」そんな不安を感じていませんか?

今回はみなさんが感じる「はたらく」に関する疑問・不安を少しでも解消できるよう、高校生・大学生・若手社会人の皆さんから質問を集め、島根大学キャリアセンターの丸山実子先生に答えていただきました。※企画に際して、島根出身の高校生・大学生・若手社会人、計50名の方々からアンケートにご協力いただきました。

参考になる回答ばかりなので、一問一問、しっかり自分の中に落とし込んでください。就職活動に不安を感じるのは特別なことではありません。みんな同じ悩みを持っていることを知ることで、広い視野、心に余裕を持って就職活動に挑みましょう!

 

丸山 実子 (まるやま じつこ)
東京都出身/1976年生まれ。大学卒業後、アルミニウムメーカーのOLからANA客室乗務員となる。その後キャリアコンサルタントとしてNPOにてニート・ 引きこもり支援→大手ホテルにて人事部採用担当→キャリアに関わる教育業を起業し代表となる。2016年より国立大学法人島根大学・准教授、現在は地域未来協創本部地域人材育成人材・キャリア部門長としてキャリア教育に携わる。

目次
1.業界、仕事選びに関する質問
2.面接、自己 PRに関する質問
3.職場環境、ワークライフバランスに関する質問
4.最後に先生から一言!

1.業界、仕事選びに関する質問

Q. やりたいことがぼんやりとしていて、 就職先をなかなか決められません。決めきるにはとどうしたらいいでしょうか?(高校3年生)
A. 自分の過去を振り返ってみよう

先のことを決められないときは、一度過去を振り返ってみてはどうかな。高校生なら、学校で「キャリアパスポート」という冊子が配られていると思います。「キャリアパスポート」は、自分の過去にあった出来事を書き留めて蓄積していくもの。体育祭のようなイベントを終えて感じたことや、学校に来たゲストの話を聞いて考えたことなど、自分だけのマイアルバムを作るつもりで、楽しく書いてみてください。そうして過去の自分を振り返って、自分に起きた出来事や気持ちを並べてみると、何かヒントが見つかると思います。

Q. どうすれば自分にとってやりがいのある業界に進めますか?(大学1年生)
A. まずは一つのことに信念を持って取り組んでみよう

やりがいは、何かの行動の結果です。最初からやりがいを目指すよりも、何かに取り組んでいる最中に「これがやりがいかも」って感覚として残るものじゃないかな。何か一つのことに信念を持って取り組んでみると、その先にやりがいが見つかると思います。だからやりがいと業界はあまり関係ありません。一つのことを頑張る期間は、自分で決めてみましょう。とりあえず1日頑張ってみるのもいいし、1時間だけ集中すると決めるのもいいと思います。自分で時間軸を設定して取り組んでみてください。

2.面接、自己 PRに関する質問

Q. 自分のアピールポイントを見つけるためには何をしたらいいですか?(高校3年生)
A. 失敗や苦手を乗り越えた経験を探してみよう

できなかったことができるようになったエピソードを探してみてください。採用担当としては、今のあなたができていることよりも、できなかったことを克服した経験の方が知りたいです。社会に出たら最初はできないことの方が多いので、そのときにマイナスをプラスに変えられるかどうかが大事。もしそういう経験がないと思ったら、今からでもすごく苦手なことにあえて挑戦して、そのエピソードを話してみてもいいかもしれません。

Q. 面接などでしゃべることがまとまりません。どのようにして上手くまとめれば良いでしょうか?(高校3年生)
A. 上手にしゃべろうとするのではなく、相手に伝えることを一番に意識しよう

流暢に喋れなくても大丈夫。たどたどしくても、一生懸命伝えようとする気持ちが大切です。喋っている途中で止まってしまうこともあるかもしれませんが、そのときは落ち着いて「すみません、もう一度最初から話してもいいですか?」と正直に伝えればそれでいいと思います。黙ってしまうのではなく、コミュニケーションを取ろうとしてみてください。挨拶もコミュニケーションの基本。第一印象につながります。また、人は耳から入ってくる情報よりも、目から入ってくる情報の方が多いと言われています。身振り手振りや、相手の目を見るなど、視覚で訴えることも意識してはどうでしょうか。

Q. やりたい事ってあるべきだと思いますか?(大学4年生)
A. なくてもOK。自分のしたい暮らしをイメージしてみよう

やりたいことは無理して作らなくてもいいと思います。やりたいことがまだ見つからない場合は、「どういう暮らしをしたいか」を考えてみましょう。自分のしたい生活や暮らしの延長線上に、やりたい仕事ややりたいことが見つかるかもしれません。生活をイメージするには、いろんな人に会いに行ってみてください。目の前の人に興味を持ったり、初対面を大事にしていると、自分がイメージできる生活の選択肢が広がっていきますよ。

3.職場環境、ワークライフバランスに関する質問

Q. 年収がいい企業ほどブラック企業*の噂が出ていたりと、何を信じて就活を進めていけばいいのかわかりません。どうしたらいいでしょうか?(大学3年生)
A. 判断基準は人それぞれ。就職後のギャップをなくすことが大事

その会社がブラックかどうかは、本人の判断基準によります。たくさん働いて稼ぎたい人と、きちんと休みを取りたい人とでは、同じ会社でも印象は違いますよね。一概に「この会社はブラックだ」とは言えません。「ブラックな会社だ」と思うのは、就職前の想像と、就職後の現実のギャップがあるときです。そのギャップをなくしたいなら、学生時代からそこで働いてみてはどうでしょうか。1日限りの職場見学ではなく、実際の業務を体験できるようなアルバイトをしてみてください。

それでも心配なら、信頼できる大人に求人票をチェックしてもらいましょう。第三者やプロの目でリサーチすれば、本当に危ない企業は見抜けると思います。
*ブラック企業…違法行為や不法行為により、従業員に無給の労働を強制する企業のこと。一般的には、単に労働時間が多い企業のことを指すこともある。

Q. やりたいことと、プライベート(結婚、出産)の両立はどうしたらいいでしょうか?仕事との両立ができるイメージがわきません…。(社会人1年目)
A. 便利なサービスと周りの人の協力を得て、両立する方法を探してみよう

これからの時代は、どちらか一方ではなく全部が手に入る時代です。あなたがやろうと思えば、両立は絶対にできます。例えば、洗濯や掃除、料理などの家事や子育て、介護はお金を払って使えるサービスがたくさんあります。こういった便利なサービスを組み合わせることで、仕事もプライベートも充実させることができると思います。もう一つ覚えていてほしいのは、一人で頑張ろうとするのではなく、「協力して」と声を上げることです。親戚や兄弟、近くに住んでいる人でも、周りの人を協力者にして、うまく助けてもらいましょう。そのためには、日頃から信頼関係を築いておくことが必要です。地域の人に日頃から挨拶したり、ちょっとしたお手伝いをしたり、少しずつきっかけを作っておきましょう。

Q. 毎日同じような業務ばかりしていて、仕事に集中できなくなりました。もっと仕事に熱中するにはどうしたらいいですか?(社会人2年目)
A. 思い切って一度仕事から離れてみよう!

毎日の業務内容が当たり前になっていて、自分の目標や仕事の価値がわからなくなっているのだと思います。そんな時は、自分の脳を休ませてみてください。思いっきり遊んで、仕事とプライベートのメリハリをつけることが大切です。あとは、全く違う業界の人と喋るのもオススメです。自分の仕事内容を知ってもらうことで、社会にどのように貢献しているのか、なんのための仕事なのかを再認識できます。このように仕事の価値を再認識することで、普段の作業でも集中して取り組めるようになるのではないでしょうか。

4.最後に…先生から一言!

◆ 高校卒業後、進学を考えている人へ

高校では文理選択があると思いますが、その先の進路まで全てが決まるわけではありません。大学では、学部が文系でも理系の授業を取れるし、学部が理系でも文系の大学院を受けることができます。今迷っている人は、つぶしが効くから理系を選ぶのではなくて、その先の大学選びを工夫してみるのも手です。自分の将来がもっと楽しみになるような大学はどこか、じっくり探してみてください。

◆ 高校卒業後、就職を考えている人へ

いち早く社会人として周りの大人たちと対等に話せるのは、大きな得になります。膝を突き合わせて人生を語れるような大人たちとたくさん出会ってください。これからは転職も当たり前の時代。まずは自分で決めた期間を頑張ってみて。置かれた環境でしっかり頑張っていれば、必ず「君すごいね」と言われるようになります。最初の仕事は社会人人生の基盤になるので、一生懸命取り組んでほしいです。

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