建設コンサルタントの仕事に加え、環境調査という独自の強みを持ち、多くの企業から評価されている株式会社ワーパス。これらの強みは2代目社長の生西さんが作り上げました。夢を語ることで会社を成長させたという生西さん。次に描く夢は、社員を愛し、しっかりと育てるということです。社員を本当に大事に思っていることが伝わる、心温かなインタビューになりました。
―株式会社ワーパスの事業内容を教えてください。
ワーパスは土木系の建設コンサルタント会社として、道路や川、砂防ダムなど人々が安心安全に暮らすためのインフラ設備に計画段階から関わり、測量などの調査、設計まで行なっています。
当社はそうした建設コンサルタントの仕事に加え、環境調査も行います。環境調査は交通量の多い道路の騒音調査や施設を建てる前の土壌汚染調査、天然記念物を保護するための水質調査などにも取り組んでいます。また、当社には採取したサンプルの分析を行う試験室もあるので、調査、分析、報告から対策までを一貫して対応しています。
―環境調査は珍しい仕事ですね。
県内業者でも環境調査の実行部隊を持っている企業はとても珍しいと思います。当社は潜水士の資格を持っているので水中調査も得意です。環境調査は大規模な建設計画や工業跡地に建設を行う際に必ず必要な作業で、資格も必要ですし、専門性が高く経験豊富なエンジニアがいなければできない仕事なんです。同業の建設コンサルタント会社でも他社に外注している場合が多いので、当社には県内外問わず、自治体や民間、同業他社から多くの依頼が集まっています。
―環境調査を行えることは、ワーパスの強みでもあるんですね。創業時からこれだけ幅広く対応しているんですか?
いいえ。もともと当社は下水道の設計を中心に行う小さな下請け会社でした。建設コンサルタントへと変わっていったのは私が入社してからです。建設コンサルタントを名乗るには技術士という国家資格の取得が必要です。そこで先代社長から、今後の会社のために技術士の資格を取得して欲しいと頼まれ、私が社内で初めて取得しました。
それ以来、建設コンサルタント会社として正式に国土交通省の認可を受け、土木部門、測量部門を立ち上げました。環境調査は土木工事を引き受ける中で話があり、平成26年に環境省の登録を得て、環境調査の分野にも進出したんです。
―先代社長からの期待に応えたんですね。ワーパスに入る前はどんな仕事をしていましたか?
前職は県内の大手建設コンサルタント会社で、下水道や砂防ダムの設計などをしていました。しかし、職場環境がとても悪く、朝から晩まで働き詰めで、上司からの厳しい指導によって病んでしまう人も多くいました。そんな日々の中で、他業種で働く妻から仕事の話を聞いたことをきっかけに、自分の視野がいかに狭く、専門的な知識以外何も知らない、魅力のない人間であることに気づきました。
さらに、その頃はバブルが崩壊し仕事量も減っていた時期だったので、このままの自分では世の中の変化に対応できないと感じていたんです。そこで土木以外の様々な経験を積み、色々な人と話して視野を広げることにしました。その行動によって自分のやりたいことがまとまり、それを実現するためにワーパスに転職しました。
―生西社長の考える社員への想いとはどんなものですか?
誰しもが、入社した時とても不安です。私も入社した時は設計の専門用語は全く分からず不安に感じていました。しかし、どれだけ焦っても急に仕事ができるようにはなりません。わからないことを一つ一つ解決し、地道に経験を積み重ねた先に成長があります。そして、わかることが増えれば増えるほど、仕事が楽しくなります。
仕事を覚えるまでの地道な時間は、とても辛いものです。だからこそ、上に立つ者は下の者に厳しく接するのではなく、支えてあげるべきだと考えています。私は口うるさく社員を叱るようなことは絶対にしません。社員みんなに「焦るな」「大丈夫」と言葉をかけ、どれだけ成長が遅い子でも見守り続けています。
―社員が仕事を好きになれるように、愛情を持って接しているんですね。
成長するためには、上司の協力が不可欠です。そこで上司には夢を与えなさいと言っています。文句を言ったり、悪いところを指摘するだけではダメな上司です。若手にどんな人材になりたいかを聞き、そのためにどうすればいいかをサポートするのが上司の仕事です。そして上司自身も夢を語らなくてはいけません。上司が暗い顔で、目標もなく働いていては若手も夢を描けません。活き活きと働く上司の姿を見て、若手はモチベーション高く、目標に向かっていけるんです。
―夢が描ければ仕事も楽しくなりますよね。
当社も夢を描き、追い続けたからこそ成長できました。私は入社してからずっとこの会社を、立派な建設コンサルタント会社にすると言い続けていたんです。当時はまさに夢物語でした。それでも目標を見据え、実直に取り組み続ける姿を見て、私の夢に賛同してくれる仲間が自然と集まって来ました。夢を語ったことで、小さな田舎の会社から、道路や土木、環境調査まで様々な対応ができる建設コンサルタント会社になれたんです。
―社員が成長するために制度面での支援もされていますか?
資格取得支援制度を整備しており、講習会、勉強資材、受験費用、試験会場が遠隔地の場合は交通費や宿泊費も負担しています。また資格取得者には資格手当をしっかりと用意しています。建設コンサルタントにはエンジニアが取得できる資格が数多くあり、私も取得している技術士は当社に3名います。それ以外にRCCMという原子力、情報、化学、建設といった20の分野ごとに優秀な技術者を認める資格があり、多くの社員が取得しています。20名規模の当社にこれだけ多くの有資格者が在籍しているのは珍しいです。
―それだけ実力者揃いということなんですね。職場の雰囲気はいかがですか?
距離感の近い、アットホームな雰囲気です。職場は同じ階に全ての部署があり、全員がコミュニケーションを取ることが出来ます。業務後は必ず全社員でミーティングを設け、互いの情報を共有しながら、協力して仕事に取り組んでいます。他部署の様子もわかるので、興味があれば部署移動も認めているんです。
―どんな人に来て欲しいですか?
専門的な業種なので工業系出身の方しかできない仕事だと思われがちですが、そんなことはありません。文系や未経験の方でも、やる気があれば大歓迎です。一人前になるまでしっかりとフォローさせていただきます。
当社では面接だけでその人を知ることはできないと考えています。そのため、当社で働きたいという熱意がある人はなるべく採用し、働く中で人となりを見極めます。面接には直接若手を指導する上司が参加するので、採用試験を受けながら、実際の職場の雰囲気を感じてもらえるようにしています。
―最後に今後のビジョンを教えてください。
現在も仕事の依頼は沢山あるので、支社を出して事業規模を拡大することはできます。しかしそれでは職員の負担が増えてしまい、前職の私と同じように視野も狭く、仕事が辛くなってしまいます。ですから対応できる範囲の仕事にとどめ、しっかりと実力のある会社に育てていきたいと考えています。
いま頑張ってくれている社員は、将来を担う大切な人材です。彼らをしっかり育て、次の時代につなげることが私の夢です。夢を描き、追い続ける社員がいる限り、ワーパスはまだまだ成長できるポテンシャルがあります。是非一緒に、夢に向かって進み続けましょう。