浜田市の建設コンサルタント会社、株式会社サンワの笠柄社長にお話を伺います。先代社長から会社を引き継いだ笠柄さんがどのようにして会社を大きくしてきたのか、その取り組みから、強みまで様々なことを伺いました。
今後は若手中心の最新技術を取り扱う新事業部の設立を予定されているそう。今からスキルを磨くことで会社の中心人物になれるチャンスです。
会社を牽引する仕事がしたい、最新技術に触れたい、そんな方にぴったりの仕事がここにあります。
※2022年7月23日に取締役会長へ就任。取材内容は代表取締役社長時のものです。
―業務内容を教えてください。
株式会社サンワは浜田市を拠点に建設コンサルタント業を営んでいる会社です。
建設コンサルタント業は様々な業務がありますが、当社は地形の測量や地質調査から、生活の利便性を向上させる道路や橋といったインフラの設計・施工現場の管理・整備、家屋の補償まで、幅広い事業に対応しています。
―サンワの設立経緯を教えてください。
当社は1998年に設立されました。私は2001年10月から2代目の社長に就任しています。石見の地域は工事を行う建設会社が多い一方、建設コンサルティング会社が少ないという背景があり、初代社長は創業を決意したようです。
―2代目社長なんですね。笠柄社長の経歴を教えてください。
サンワの社長に就任する前は様々な会社に在籍し、土木分野の仕事をずっとやってきました。
最初に入社した同業の会社では、重機に乗って作業する作業員から、施工全体を管理する立場や営業担当者として実績を重ね、常務取締役までなりました。その会社を退職後、何社かを経てサンワの社長に就任しました。
―現場、管理、営業、経営全てを学ばれた後にサンワに入ったんですね。どういった経緯で社長に就任したんですか?
サンワの創業者が脳梗塞を起こし、仕事ができないようになってしまったんです。その時私は前職を退職したタイミングで、創業者からサンワを引き継いでほしいと言われました。
その時のサンワは現場の作業員、事務の方を入れても5人程度の小さな会社で、仕事の多くも下請けで利益も少なく、借金のある状態でした。
正直、借金がある会社で、知らないメンバーとともに会社を盛り上げられるのかと葛藤もありました。
しかし、これまでこの地域で営業をしてきて、経営者や自治体の方とのつながりもあるし、自分の力が役立つならば頑張ってみようと思い引き継ぎました。
最初はとても苦労しましたが、徐々に仕事の依頼をいただくもこと増え、社員もしっかり雇用し続けられているので内心ほっとしています。
―苦労からのスタートですね。
この地域には建設コンサルタント業を営んでいる会社が4つしかなく、その中でも一番歴史の浅い当社は、地域で一番小さな会社としてスタートしたんです。
そこからサンワが生き残るために、他の3社が取り組まない事業への進出が必要でした。そこで最初に現場技術業務を積極的に受けるようにしたんです。
現場技術業務とは自治体に社員を1年間派遣し、公共工事の効率的な事業進捗、品質確保のために工事の設計、監督、関係機関などとの協議や、事業の実施に関する作業を行う仕事です。
当時この仕事は他社には人気がなかったので、これをチャンスと捉え積極的に仕事をもらい、会社に大きな利益をもたらすことができました。
こうした成長背景を見て、最近は他社も現場技術業務を引き受けるようになりましたが、今でも浜田市で当社が一番現場技術業務を受注しています。
―サンワならではの業務を見つけたんですね。
現場技術業務の他に、事業領域の拡大にも手をつけました。引き継いだ時は建設コンサルタント業務の中でも測量しか取り組んでいませんでした。
経営状態を改善するには幅広い業務を行う必要があったので、まずは設計の仕事を引き受けるために自治体に設計の仕事もらえないか交渉したんです。
最初は実績がないと言われて断られましたが、粘り強く交渉し続け、仕事をいただくことができました。他の業務も同じように徐々に拡大し、今のように幅広い業務ができるようになったんです。
―強みを教えてください。
サンワの強みは幅広い事業領域と、それを可能にする質の高い技術者の存在です。
当社で働く社員は様々な資格を保有しており、測量や調査だけでなく、施工現場の管理や家屋の補償など、様々な業務に対応できる豊富なスキルを身に付けています。
測量以外の仕事はどれも未経験からスタートだったので苦労もありましたが、こうして様々な壁を乗り越え成長してきからこそ、当社は目の前の課題に対して悲観せず、常にどうやったらできるのかを考えるポジティブな社風になりました。
また、浜田市内で地質調査を行うために穴を掘るボーリングの機械を持っているのは当社だけです。普通は他社に外注するんですが、当社のみで対応できますし、実績もしっかり持っているという強みもあります。
近年ではそうした実績を評価され、浜田市を水害から守るために計画中の矢原川ダムの建設にも地質調査で関わりました。
―社員に日頃から声をかけていることを教えてください。
「報告・連絡・相談」のホウレンソウを徹底するように指示しています。仕事で起きた課題や気づきを報告せずに後回しにしてしまうと、何か大きなミスにつながる可能性があります。
ホウレンソウさえしてくれれば、上司が責任を持って対処するので、どんなことでも必ず相談することが大切です。
また、健康管理の大切さについても声をかけています。新型コロナウィルスワクチンやインフルエンザの予防接種の時期には摂取の声かけをしますし、夏は熱中症の危険性が上がるので、少しでも体調に異変を感じたら声をあげてほしいと伝えています。
―職場の雰囲気はどうですか?
職場は明るい雰囲気です。2021年6月から新社屋に引っ越した際に、ワンフロアで互いの顔が見れるような作りに変えました。
若手の横にはベテラン社員のデスクが来るようになっているので、ホウレンソウがすぐできる環境です。
オフィスが新しくなったことで社員からも仕事に来るのが楽しみになった、綺麗なオフィスで嬉しいといった声が上がっています。
今は新型コロナウィルスで社内イベントなどを開催できませんが、落ち着いたらみんなで集まるイベントなども開催し、仲間意識を深める機会を用意したいと思っています。
―求める人材像を教えてください。
現在は中途採用が多いのですが、今後は新卒採用を積極的に行いたいです。未経験かどうかは重視していません。やる気があれば勉強もするし、覚えるのも早いので、まずはこの会社で活躍するぞという意気込みを持ってください。
若い方にとって建設業は、きつい、汚いといったイメージがあるかもしれませんが、今は機械化も進んでいますし、最新技術に触れる機会もある仕事です。
そうしたイメージを払拭し、若者が活躍できる分野だというPRをどのように行っていくかが課題だと考えています。
―最後にビジョンを教えてください。
若い技術者や女性の技術者を増やしていきたいです。
既に当社では女性のエンジニアが在籍し活躍してくれていますが、その人数を増やすために、女性活躍支援・介護休暇の導入など社労士に相談しながら働き方改革に取り組んでいます。また、最新技術に特化した部署を新設します。
これからの時代はドローンやレーザーなど、最先端技術を活用した測量方法や3次元設計の需要が増加します。
これは導入だけで数千万円しますが、今から取り組むことで他社と差別化できるので、積極的に導入していきます。
―最新技術に特化した部署はどのようなメンバーで構成する予定ですか?
若手を中心にメンバーを組む予定です。最新技術は今後も需要が増えますし、ドローンやレーザー以外にも新しい技術はこれからも生まれてくるので、これからの会社を担う若手に技術を優先的に身につけてほしいです。
こうした分野は土木の知識よりも情報感度が高い方や、ITの知識を持っている方に馴染みのある分野だと思うので、理系の方やIT系の知識がある方でも活躍できるはずです。今からスキルを磨くことで会社を牽引する存在になってください!