お話を伺った技術部の奥田さんは入社2年目。現在は、地すべり対策事業に従事しています。今まで知らなかった島根県と地すべりの関係と、目立たず、でも確実に私たちの生活を守ってくれている協和地建コンサルタントの活躍を知れる取材になりました。
―仕事内容を教えてください。
私は技術部に所属していて、地すべりの原因調査と対策を主にしています。島根県は地すべり指定地区数が全国第二位で“地すべり県”とも言われるほどです。そのため大きな被害が出る前に地すべり対策を行うことは、県全域にとってとても重要なんですよ。
―初めて知りました!地すべりはどうやって起こるんですか?
地面は様々な地層が重なりあってできています。その中には、水をよく通す層と、通しにくい層があるんですが、雨が降ったり、雪が溶けて大量の水が地面にしみこむと、水を通しにくい地層の上に大量の水がたまってしまうんです。
すると、その地層より上の地面が、たまった水の浮力で持ち上げられます。そこが斜面だと、地面は固まりのまま下へ滑っていきます。これが地すべりのメカニズムです。通常はゆっくりと滑っていきますが、地震などのきっかけで一気に何メートルも地すべりを起こし、人命に関わる災害が起きることもあるんです。
―台風や豪雨の際に地すべりのニュースをよく見ますよね。どうやって調査をするんですか?
地すべりの原因調査では実際に様々な場所を訪れて、水位の調査をします。自治体が発行するハザードマップなどで表記されている場所以外にも新たに地すべりを起こしている場所を見つけた場合は、マップに追加してもらうよう働きかけもします。調査と並行して、地すべり対策をしている場所を訪れ、対策施設が古くなっていないかなどの点検もするんです。
―地すべり対策はどうやるんですか?
まずはどういった方向に地すべりが起きているのか、どんな原因が考えられるのかを調べる必要があるので、地質調査を行います。地面に孔をあけて一定の幅で地質の強度などを調査します。そのデータを細かく分析することでわかることが多いんです。1年目はこの調査を担当し、たくさんのことを学びました。今はそこから進んで全体を見ながら実際の対策に関しても担当しています。
―詳しく調べることで的確な対応策が取れるんですね。
対応方法はいくつかありますが、水抜きボーリングの工事が多いですね。水抜きボーリングは地下水が溜まっている場所へ管を通し、地下水が溜まる前に外に排水することで地すべりの対策をする工事です。
高速道路を走っていると、山間の壁からたくさんパイプが出て排水されている景色を見たことがあると思います。あれも水抜きボーリングの工事が行われたものです。身近な風景をよく見るといろんなところで地すべり対策が実施されてることがわかると思います。
―生活の安全はこうやって守られていたんですね!専門的なお仕事ですが、大学ではどんな勉強をされていたんですか?
島根大学で地質関係を専攻していました。でも入社してから学ぶことが多いです。大学の知識は基礎知識程度。誰でもしっかりと学べば入社してからでも活躍できると思います。
―入社した理由は学んだことを活かしたかったからですか?
その気持ちもありますが、一番の理由は大学の企業説明会で聞いた、協和地建コンサルタントの経営理念、企業スローガンに惹かれたからです。
経営理念は“事業の発展を通じて社員とその家族の幸せを創出する”、経営スローガンは“地質から地域を見渡し、水資源で地域を興す”というものです。説明会には社長が直接来られていて、そこでお話をしてさらにいい会社だなと感じ、入社を決めました。
―人と考えに魅せられたんですね。企業理念は体現されていますか?
社員をとても大切にしてくれますし、チームワークを尊重する風土があります。社員は歳の離れた方が多いんですが、そういったしがらみに縛られず働けます。わからないことは先輩が優しく教えてくれるので働きやすいですし、仕事をしていて楽しいと感じる瞬間が多いです。
―充実されてるんですね。逆に大変なことはありますか?
覚えることは多いですね。この会社は一つのことを専門にするよりも、幅広い業務に対応しなくてはいけません。ですから日々勉強です。でも多くの知識を学ぶことで、今まで見えなかったことが見えてくるようになりました。すごく良い経験をさせてもらえているんだなと感じます。今は入社2年目ですが、まだまだここから。様々なことを学び、吸収して、もっと成長していきたいです。
―成長した姿を考えるとワクワクしますね。最後に仕事の魅力を教えてください。
先輩が地すべり対策をした後に、対策施設のメンテナンスをする機会があるんですが、お客さんから、「水が抜けてるのがわかって安心して生活できるよ」「田んぼによく水が入って助かるよ」などの声をいただくんです。そういった人から感謝されるような仕事ができるのが魅力です。
大きな地すべりは人命に関わる災害です。それを防ぐこの仕事は人の命を守るという使命感があります。地すべり対策した施設は長く形として残るものなので、凄く達成感も感じますね。この仕事はたくさんの人が大々的に知っているような目立つものではないかもしれません。でも実際に地域の安全を、人の命を守る重要な仕事なのでとてもやりがいがありますよ。