株式会社 ひょうま

島根県 益田市

何よりも、心のやすらぎを届けたい

代表取締役 吉田拓也さん

数多くあるライフイベントの中で、悲しさを伴うものがあります。死別です。そんな時、人の心に寄り添うのが「株式会社ひょうま」の本質なんだと思います。お話を聞いたのは代表取締役吉田さん。単純な利益追及ではない、人の心を支える仕事についてその未来に至るまで余すことなく伺いました。


 

―ひょうまではどういった事業をやっていらっしゃるのか教えてください。

ひょうまでは、宗教用具の販売事業と介護事業をメインで行っています。元々はお仏壇の事業から始まりました。そしてお仏壇の修理、供養関係など事業領域を広げていき、現在ではお墓や墓石、仏具、神具、霊園まで幅広く取り扱っています。

また介護事業も行っていて、認知症の方が24時間365日生活できるような認知症のグループホームの施設運営、デイサービス、居宅介護支援など時代のニーズに合った介護事業を展開しています。

―幅広く展開しているんですね。では、この事業を始められた経緯について教えてください。

1971年に創業、私で三代目になります。創業当時は、お仏壇の修理を広島で始めたと聞いています。そして戦後、島根県全体へと広げていく中で、お客さんの要望に応じて仏壇の製造・販売も取り扱い、お墓・墓石の販売と事業を拡大していきました。

介護事業は、創業者の娘さんが創業者であるお母さんを介護することを目的に始めた事業です。地域の方に恩返しをしたいという創業者の想いを叶えるために、最初は娘さんがNPOを立ち上げて社会貢献としてやっていたそうです。

その後、順調に運営できるようになったので、会社の事業として資金を投資、現在の介護事業にまで拡大していきました。

―3代目ということですが、どういった想いを持って引き継がれたのか教えてください。

創業70年を越える事業を引き継ぐというのは、大変な覚悟と信念が必要でした。

移りゆく時代の波に、ひょうまという船がのみこまれてしまわないようしっかりと舵を取り、次世代へと引き継いでいける会社造りをしたいと決意しました。そのために、古き良き部分は残しつつ、時代に合わせて良いものには積極的に取り組んでいこうと考えています。

入社してからは墓石事業の部門で3年、総務を1年、営業部長、専務を8年経験して、社長に就任したのは2018年の10月からです。

―実際に営業部の統括をされていたんですね。仏具等の販売の営業って一般的な営業とは、かなり違うイメージがあるのですが、お客様と接する上で、大切にされていることを教えてください。

そうですね。取り扱う商品は仏壇仏具、お墓、線香とかいろいろあるんですが、基本的には求めていない方には売らないということが、他との大きな違いです。私たちは単純な利益追及ではなく、お客様の心や想いを第一に仕事をしているんです。

「一か月にお客さん何人来るの?売上的にやっていけるの?」とよく聞かれるんですが、私たちが最も大切にするべきなのはそういった商業的な目線ではないんです。大切な人が死を迎える時、供養したいという気持ちが必ずあります。

その気持ちを持つ方々の思いを支えることが最も大切なんです。だからこそ、私たちはただ商品を売ればいいのではなく、心の部分を大切にするようにしています。

中には親子代々にわたって、お付き合いいただく方もいらっしゃいます。お仏具やお墓を買う経験は何度もあるわけではなく、どうすればいいのか、不安に思われている方も多いです。そういった方々の想いにしっかりと耳を傾け、安心していただけるように提案しています。

商品購入後に、「丁寧な対応ありがとう」「ひょうまに相談に来てよかった」とお客様からいただく感謝のお言葉が、私たちの宝物ですね。

—死を前に、悲しんでいる家族の心に寄り添うことが大切ということですね。

はい、うちのモットーで「よりそうこころのまんなかに」とあるんですが、ひょうまという会社が社員・お客様・亡くなられた方、それぞれの心の寄り添いをとりもつような存在でありたいという願いが込められています。

人と人が互いに想い、寄り添い合う、そういった心の有りようを私たちは大切にしています。そうした心の部分を大切にしているからこそ、お客様からもすごく感謝されるんだと思います。

―寄り添うことを大切にされているというのがすごく伝わってきました。では、ひょうまでは寄り添える人が活躍できるということですね。

そうです。ですから、どうしてもコミュニケーション能力は必要になりますね。コミュニケーションが取れて、前向きな人が向いているかと思います。それもあって、採用時には履歴書だけで決めることはしていません。まずは会うことを前提としています。

—新しく入社される方の仕事内容はどのような感じになりますか?

現場のことが分かっていなければ、総務管理とか間接部分の仕事もできないですし、そもそも人に発言力とか影響力とか与えられないと考えています。

ですから基本的には、総務の幹部で募集したとしても営業の仕事とか介護現場、そういう実際に人と接する現場でまずは働いてみてほしいと思いますね。

新入社員は、最初は社内で孤立する場合があるんで、本音で話をする機会が大切だと思っています。そのために私が面談をする時間を意図的に作るようにしています。

話してみると現場のことや意外な話が聞けたりするので大切にしています。

―社長さんと距離が近いことはすごく魅力的だと思いますね。

たぶん人間は肩書を重視して見るから、社長というだけで違う緊張感がありますよね。お互いのためにも本音で話し合えるよう努力しています。

―社員さんの意見とかも取り入れられるんですか?

意見を聞くことは一番大事だと思っています。店舗が多店舗化しているため、現場と本社の間接部門の距離ができることが問題としてあります。

例えば商品とかサービスを提案するときに現場とかけ離れたことを本社が指示することがありました。そういったズレが生じないように、私や本社の人間がお客様やお客様と接している社員の話を聴くことを大切にしています。

―会社が描く今後のビジョンはどういったものになりますか?

シニアの方向けのエンディングビジネスで何かできたらと模索中です。仏具販売や介護などの顧客情報がバラバラで連動していないので、IT技術等を活用して顧客管理を効率よく行い、その顧客情報をもとに、今後10年の中でシニア向けのエンディングビジネスにチャレンジしていく予定です。

最近思うのが、やる気のある人ほど業績が停滞してしまうと、やめていく傾向があるんです。組織が停滞してしまうと個人のキャリアアップも望めなくなってしまいますからね。

組織も同じで、常に拡大して、新たなものにチャレンジしていかないと維持できなくなる。だからこそ、いろんなことにチャレンジしていきます。

仏具等の販売や介護だけでなく、どんどんチャレンジしていって、良さそうなところに踏み込んでいく。そうして将来的にいくつかの事業ができて、それを社員に任せられるような、10年間の内にその土台を作っていきたいと思います。

「ありがとう」に込められた想いに感動できる仕事