山陰で17店舗の飲食店を運営する株式会社ウッドベル、今回は社長の小川さんにお話を伺います。
ウッドベルが目指すのは若い人にチャンスを与えられる会社。その目標を実現するために、ウッドベルは店舗拡大や多業態展開、人材育成に力を入れてきました。
大企業にも負けない様々な経験やスキルを身につけたい、将来起業したい、そんな向上心を持った方々にぜひ読んでいただきたいインタビューです。
―事業内容を教えてください。
ウッドベルは既存の有名ブランドから看板を使う権利や経営ノウハウを得て店舗を運営する「フランチャイズ方式」を活用し、山陰地方で6業態、全17店舗の飲食店を展開しています。
業態ごとの店舗数はミスタードーナツが6店舗、焼肉屋さかい4店舗、ベビーフェイスプラネッツ、丸源ラーメン、かつやがそれぞれ2店舗ずつ、VanSan(ヴァンサン)が1店舗です。
―会社の設立経緯を教えてください。
ウッドベルは1980年に私の父が設立した会社です。父は東京で勤めていた企業が倒産してしまい、故郷の島根にUターンしました。
そこから父はアイアムコーポレーションというダスキン島根工場の運営、配送、ダスキン商品の販売、レンタルを行う別会社を設立したんです。
知らない方もいると思いますが、ダスキンは海外に本社があるミスタードーナツのフランチャイズ展開する権利を持っています。
そこでダスキンから権利をもらい、ミスタードーナツを出店しました。
最初はアイアムコーポレーションの新事業として行う予定でしたが、一つの企業に複数の事業を持つよりもそれぞれ専門分野に特化した方がいいと言う意見があり、飲食業を専門に行うウッドベルが設立されました。
―なぜ新たに飲食業へ取り組んだんですか?
父がUターンした頃の島根はあまり仕事も豊富でなく、暗い顔の人が多かったそうです。
そんな故郷の姿を見た父は、地元に新たな雇用を生み出したい、職業選択の幅を広げたい、若い人が活躍できるチャンスを創出したいと言う思いを抱き、当時島根に少なかった飲食チェーンの展開に踏み切ったと聞いています。
―地域貢献の思いが、創業につながったんですね。小川社長の経緯を教えてください。
私は県外の大学を卒業した後、会社を継ぐことを前提にダスキンの本社に就職しました。
ダスキンには約15年間在籍し、現場の製造部、配送センター、それから経理など様々な部署を経験し、2003年に戻ってきたんです。
入社後はミスタードーナツの店長を務め、その後2代目社長に就任しました。
―社長に就任してどんなことに取り組みましたか?
店舗数の拡大と、新たな飲食ブランドの進出に取り組みました。まず店舗数の拡大に取り組んだ理由は社員のモチベーションを上げるためです。
私が戻ってきた時、ウッドベルの社員はモチベーションの低い人ばかりでした。
原因は明白で、当時展開していた店舗はミスタードーナツ2店舗のみにもかかわらず、社員数が多かったんです。
そうすると役職のない社員は店長がいる限り出世もできない、給料も上がらない、目標がないので日々を怠惰に過ごしていました。
そこで、店舗数の拡大を進め、店長の下で燻っていた社員を店長にしていったんです。
社員も店長になり意欲的に仕事に取り組むようになりました。
―社員のモチベーションを上げたんですね。ミスタードーナツ以外の業態に進出した理由を教えてください。
一つのブランドのみを運営していることにリスクを感じたからです。
私が社長に就任してすぐ、ミスタードーナツの商品に日本で認可されていない添加物が使用されていたと言う問題が発覚。その添加物自体は体に害はないものでしたが、本社がその事実を隠蔽してしまったんです。
それが社会問題になり、その影響はフランチャイズ店舗を運営している当社にも波及しました。
新聞には私の写真も出ましたし、売り上げは大幅に減って毎月数千万円の赤字が出る状態です。倒産すら覚悟しました。
その後ミスタードーナツ本部が非を認め、フランチャイズを運営する会社に損害補償を行いましたが、その時にフランチャイズは本部の行動ひとつで経営状況を振り回されてしまうことに気づいたんです。
そこで、複数のブランドを事業の柱とし、問題が起きてもカバーできる体制を作ることを目的に、他の業態へ進出しました。
―経営の安定化を進めたんですね。
業態を増やしたことによる恩恵は他にもあります。社内に様々なカテゴリーの飲食店があるおかげで、一つのブランドを展開するよりも広角的に物事が見れるという強みを得ました。
また、新型コロナウィルスの影響で外食産業は打撃を受けましたが、当社は店内飲食メインのお店が売り上げを減らした一方で、テイクアウトを行う店舗が売り上げを伸ばしました。
そのおかげで、会社全体では売り上げが新型コロナウィルス流行前より伸びているんです。
―小川社長の経営方針が会社の危機を救ったんですね。今後も店舗の拡大や新ブランドへの進出を進めていきますか?
既存ブランドの出店はもちろん、新たなブランドへも進出していきます。
具体的にはファストカジュアルと呼ばれるファストフードより商品の質が高く、レストランより早く商品の提供を行うハイブリット型のレストランが急成長しているので当社でも取り組む予定です。
また、コロナ禍で需要の増した、店舗で食べることを前提としないドライブスルーなどの店舗も出店していきます。
―これからの事業展開からも目が離せませんね!人材育成ではどんな取り組みを行っていますか?
会社が成長を続けていくために、人材育成も力を入れなくてはいけません。そこで2020年より評価制度を変えました。
今までは店舗ごとの売り上げ達成率で評価をしていましたが、そこに個人スキルの評価を加えたんです。
研修に参加した、新たなスキルが増えた、そうした個人の成長もしっかり評価に反映することで、自分の努力がしっかり評価される体制を構築しました。
また当社の社員としてあるべき姿を決め、そこに向かって成長していくための研修制度も充実させています。
―社員が目指すあるべき姿とはどのようなものですか?
飲食店の社員は接客だけやればいいと思われがちですが、実は様々な能力が求められます。
健全な飲食店の運営に重要なquality(品質)、service(サービス)、cleanliness(衛星環境)、この3つの分野に対してプロフェッショナルであることはもちろん、店長になれば店舗のマネジメントから人材育成や市場調査、商品の販促、顧客へのリサーチなど様々な業務に対応しなくてはいけません。
当社の社員が目指すのはその全てを備えた人材です。
―そうした人材に育てるためにどのような教育制度を用意していますか?
内部研修やブランドごとの講習に加え、様々な外部研修を用意しました。
外部研修では大手企業の管理職が学ぶようなコーチング研修やコミュニケーション研修の受講ができます。
外出しづらい状況でも受講できるように、オンライン研修のラインナップも増やしているところです。
また、年度末に開催する事業会議の企画運営や進行も社員に任せるようにしました。
責任ある仕事を任せる、人前で発言する、そうした社員が自ら考え、行動しなくてはいけない機会を増やすことで、能動的に働くことの大切さを学んでもらいます。
こうした教育体制により、豊富な知識や経験を身につけ、自ら行動を続ける当社の社員は、都会の大企業にも負けない自慢の人材ばかりになりました。
―正社員として多様な経験を積めるのはとても魅力的ですね!今後のビジョンを教えてください。
山陰で生活される方々に様々な食の喜びを届けていきたいと考えています。当社が店舗を運営できているのは来店いただける地域のお客様がいるからです。
そうした皆様への恩返しとして、先ほど述べた事業展開、人材育成に力を入れ、雇用の創出、税の納付といった企業としての務めに加え、友達と放課後語り合うカフェ、家族と美味しい食事を囲むレストラン、そうした皆様の大切な瞬間を提供できるお店を展開していきます。
また、外食産業に対するイメージを変えていきます。当社の仕事は、同じものを作っているだけのステータスが低い仕事と思われがちですが、それは間違いです。
我々のようなお店がなければ、24時間365日、美味しいものを手軽に食べることはできません。この仕事は地域住民の豊かな生活を支えているんです。
また、当社の社員は様々な教育を進んで学び、素晴らしい能力を身につけています。
どんな仕事でも第一線で活躍できる力がある彼らがこの仕事を誇れるように、外食産業のイメージを変えるための情報発信は行っていかなければいけません。
―最後に学生へのメッセージをお願いします。
就職活動で内定を得ることはゴールではありません。社会人になって何を為したいのかをしっかり考えてください。
何も目標を持たず、責任も持たずに言われたことだけをやっていても退屈なだけです。
自らの成長と、充実した毎日を求めるならば、常に自分の思いを発信し、行動していく自立さと、責任感を持って仕事に真摯に取り組む自律さの両方を兼ね備えた人材を目指してください。
そうすれば自然と仕事にやりがいを感じ、周りから求められるような魅力を身につけることができるはずです。
当社ではそうした向上心を持った方を全力でサポートしていきます。
高いレベルの人材を目指し、共に挑戦を続けてくれる、意欲を持った方からの応募をお待ちしています。