今回は有限会社くまハウスの代表取締役、熊谷悦子さんにお話を伺います。くまハウスがお客様に提供するのは単なる掃除代行サービスではありません。その先にある”生活に磨きをかける”ハウスクリーニングを提供し、多くのお客様に愛されています。生活に磨きをかけるという言葉に込めた想いを詳しく伺っていきます。
―有限会社くまハウスの事業内容を教えてください。
くまハウスはハウスクリーニングを行う会社です。拠点は浜田市と松江市にあります。個人宅に伺うハウスクリーニングを中心に、入居者が退去された賃貸物件の状態改善、完成した新築物件の仕上げクリーニングも行います。ハウスクリーニングと聞くとみなさんどんなイメージをされるでしょうか?汚い場所を綺麗にするだけの仕事と思われる方が多いかもしれません。しかし、私たちはさらにその一段上の”生活に磨きをかける”ハウスクリーニングを目指しています。
―「生活に磨きをかける」とはどういう意味ですか?
生活に磨きをかけるというのは”気持ちよく生活できる空間を作る”ということです。個人宅の場合、エアコンや換気扇、お風呂やトイレといった、普段掃除の手が行き届かない場所が多いですが、そこを綺麗するだけでは一般的なハウスクリーニングと変わりません。私たちの場合はさらに一段上の提案を行います。例えば新型コロナウィルスが流行している昨今では、汚れを落とすだけでなく、除菌消臭の作業も同時に行いましょうとか、お風呂ならば掃除をした上で、カビが生えにくくなるコーティングを行いましょうといった提案をします。汚れを落とすことに加え、そうした今後の対策をすることで、日頃の掃除が楽になるんです。キッチンの場合、料理後の汚れはお湯で拭くだけでピカピカになります。掃除の手間がかからなくなるので、忙しい方でも綺麗な環境を保ちながら生活を送ることが出来ます。このように、掃除をした瞬間だけの綺麗さを求めるのではなく、その後も快適な暮らしをお助けできる掃除こそ、私たちが目指す”生活に磨きをかける”ハウスクリーニングなんです。
―会社の歴史を教えてください。
当社は、2001年に主人と一緒に創業した会社です。今年で21年目を迎えました。創業前は夫婦共に家電製品の卸売りを行う企業に勤めていましたが、その会社で長年務めることに限界を感じ、自分たちで起業できる仕事はないかと探していました。いくつか候補を探す中で、ハウスクリーニングという仕事を知ったんです。もともと主人が掃除好きだったので、すぐに詳しい方にお話を聞きに行き、日本ハウスクリーニング協会という開業支援や研修を行なってくれるNPOの支援を受けて創業に踏み切りました。
―実際起業してみていかがでしたか?
創業時はまだハウスクリーニングが普及していない時期だったので、最初はとても苦労しました。個人の仕事は少なかったので、賃貸不動産の退去後のクリーニングを中心に行いましたが、案件の金額が安く、見た目さえ綺麗になればいいといった低いレベルのクリーニングしか求められていなかったんです。これでは会社の利益が少なく、なによりも私たちが理想とする仕事とかけ離れていました。
そこで、大家さんに私達が理想とする掃除のメリットを根気よく説明していくことにしました。例えば、細かなところまで掃除をすることで、エアコンやキッチンの物持ちもよくなり、入れ替え費用も抑えられるといったメリットです。こうして、少しずつ私たちの考えに賛同していただける取引先を増やしていきました。最近では個人宅でもハウスクリーニングの利用が増えだしたので、当社でも時代に合わせて主力事業を個人宅に切り替えています。
―個人はどんなお客様からのご依頼が多いんですか?
高齢者の方から若い方まで、幅広いお客様がいらっしゃいます。最初はプロが掃除した仕上がりを見てみたいといった興味から依頼される方が多いです。そこから気に入っていただけた場合は定期的に伺うようになります。
―掃除の際にどんなことを心がけていますか?
コミュニケーションと使用する道具の2つにこだわって掃除を行なっています。掃除をする際のコミュニケーションはとても大切です。お客様の言葉に耳を傾けられるように会話をしながら、話しかけていただきやすい空気を作っています。会話の中からお客様の要望を知り、求められる以上の掃除をすることで初めてお客様は満足されるんです。
―そうやってくまハウスのファンが増えているんですね。
信頼関係が深まると、あなたが良いと思うように掃除をして欲しいと言っていただけます。その言葉が何より嬉しく、やりがいを感じられる瞬間です。このような信頼関係が仕事のモチベーションに繋がり、より素晴らしい作業を行うことができるようになります。
―道具にはどんなこだわりがあるんですか?
道具選びはとても大切です。例えば力任せに汚れを落としたり、効き目の強すぎる洗剤を使っていては素材を痛めてしまいます。また、掃除箇所は肌の触れる場所も多いですし、作業は手作業で行うので、人体への配慮も必要です。そこで当社ではアルカリ水を使うようにしています。
―アルカリ水とはどういうものですか?
アルカリ水はほぼ水なので、人体への影響もありません。さらに汚れを落とすだけでなく、除菌消臭効果があります。ちょっとした汚れはアルカリ水で落とせるので、当社の掃除は全てアルカリ水から始めています。それでも落ちなければ少しずつ効果の強いものを使って行くという順番です。
―膨大な商品の中からどのようにしてアルカリ水を見つけたんですか?
アルカリ水にたどり着くまでには、様々な種類の商品を検証しました。専門の道具や洗剤だけでなく、重曹やお酢といった家にあるものだったり、市販の洗剤まで幅広く効果の検証を行い、それぞれの特性を把握していきました。さらに、ハウスクリーニング協会で開かれる新しいクリーニング方法の勉強会に参加したり、東京ビックサイトや広島で開催される展示会にも積極的に参加しています。クリーニング用品は新しい商品がどんどん生まれるので、ついて行くのは大変です。それでも色んな商品を見ながら、どんな風に活用できるか考えている時間はとても楽しいです。
―かなり研究されているんですね。次に職場の環境を教えてください。
当社には現在男性2名、女性3名が在籍しています。4月には新卒の女性も入社する予定です。なるべく快適に働いてもらえるように、産休や育児休暇と行った制度も整えました。また、明るく面白く仕事をしてほしいので、当社の行動指針を新たに策定しました。行動指針は「会った時に、生き生き、ウキウキ、笑顔で、面白い」のアイウエオです。外から見て、くまハウスの人たちは楽しそうに働いていると評価してもらえるような、元気で和気藹々とした会社を目指しています。
―楽しく働ける会社なんですね。会社のビジョンを教えてください。
”生活に磨きをかける”ハウスクリーニング仲間をこの地域に増やしていきたいです。そのため当社では独立希望者も広く受け入れており、最近も一人独立しました。当社でしっかりと経験を積み、独立後のサポートもすることで、”生活に磨きをかける”という価値観をもっと広めていきたいと思っています。
―どんな人に来て欲しいですか?
コミュニケーション能力があり、人が好きな方に入社して欲しいです。人が好きな方であれば、お客様の言葉にしっかりと耳を傾けることができますよね。掃除の技術は問いません。3年で一人前になれるところまで丁寧に指導します。
―最後に学生にメッセージをお願いします。
挑戦する気持ちを楽しんでもらいたいです。今の子たちはとても優しい性格の人が多く、周りに迷惑をかけないことや、失敗しないことを優先しますが、もっと失敗してもいいんです。私たちも失敗をして成長しました。失敗から学ぶことは多いので、思いっきって挑戦することを楽しんでもらいたいと思います。