地質と地下水の調査や開発・活用を専門にしている協和地建コンサルタントは、目には見えない土の中から地域の安全安心に貢献しています。「50年後も社員が安心して生活できる市場を島根県に創出したい」と語るのは代表取締役社長の石倉昭和氏。中四国地方初の地熱(温泉熱)発電所を手掛けるなど、島根の将来を見据えてチャレンジを続ける企業です。
—会社の事業内容について教えていただけますか
弊社では、大きく分けて「温泉・水源開発」「地質調査」「地すべり対策」「地熱・地中熱活用」の4つの事業を行っています。
まず一つ目の「温泉・水源開発」ですが、玉造温泉をはじめとした著名温泉地の泉源調査や、新たな温泉を組み上げる為の温泉井戸開発行っています。また、同様のノウハウを生かして、家庭用の井戸や工場用水などの水源開発を行っています。最近ではバイオマス発電の際に、熱を冷ますために大量の水が必要ということで、発電施設で使用する冷却水用の水源開発という事例もありました。また、災害時の備えとして地下水を活用したいといったニーズも高まっています。
2つ目の地質調査は、簡単に言うと、土木施設や建物の基礎を設計する前に、地盤の状態を確かめて、設計に反映させるための調査を行う仕事です。建物も土木施設も、地盤の状況に応じた設計が必要なので地質調査はとても大事な工程なんです。この分野は高齢化と担い手不足が進んでいるので、主に高校生の新卒採用を行い、技術継承を積極的に行っています。
3つ目の地すべり対策は、斜面災害を防ぐ仕事です。斜面災害と一口で言ってもたくさんの種類があるんですが、私たちはその中の地すべり対策を得意にしています。あまり知られていないんですが、島根県は全国第2位の地すべり地域数を有する斜面災害の危険性が高い地域です。この地すべり対策が多くの人命と財産を守ることにつながっています。
4つ目の地熱・地中熱活用は、最近特に力を入れている事業です。地中熱とは、地下の温度と地上の温度の温度差を使って、効率的に熱エネルギーを利用する技術です。この技術は建物の冷暖房や給湯などに利用されます。再生可能エネルギーですから、地球環境の観点からも導入を進めている行政、企業が多いですね。
—様々な事業を展開されているんですね。創業当時から幅広く事業を展開していたんですか?
協和地建コンサルタントは、私の祖父を中心としたメンバーで立ち上げた地質調査の会社で、当時はボーリング調査など地質調査をメインとし、その後、少しずつ事業を広げていったようです。ただ、地熱・地中熱活用の事業に関しては私の代から始めた事業になります。
—協和地建コンサルタントの強みやこだわりを教えてください
最近感じている強みは、人財を採用する力が思いのほかあることでしょうか。大きな会社と比べても遜色ない実績や、若い人たちがいいなと思ってくれるような会社の雰囲気が出来てきているのでないかと思います。
現在は毎年、「社員2名純増」を目標にしています。新卒採用はもちろん、中途採用にも積極的で60歳以上のシニア層の再就職にも取り組んでいます。あらゆる世代を採用し、それぞれの力を結集させることで会社をよりよくしていこうという方針なんです。これを私は「新卒・中堅中途・シニアのベストミックス」と呼んでいます
また、これからの人財育成を考えたときに、会社が目指しているものや、これからのビジョンを示すことが大切だと思っているので、全体の方針発表会を年に1回、社長面談を年に2回、それ以外に“社長と語る会”といった会を部署単位で設けています。
—社内コミュニケーションの場が多いんですね。業界的に女性が少ないイメージがあるんですが、ベストミックスには女性の活躍も含まれているんでしょうか?
もちろんです。現在、女性は合計4人活躍していて、事務職、技術職に2名ずつ配属しています。なかなかこの分野に女性は少ないですから、これからもっと増やす方針でいます。
—実際にベストミックスを取り入れることによって変化などありましたか?
やはり多様な人たちがいることによって組織が活性化していると思います。その結果として、新しいことにも積極的に取り組むようになりました。新しいことに挑戦して、やり方も事業内容も少しずつ変えていかないと会社は発展しませんから、新卒・中途に関わらずどんどん挑戦してほしいですね。
—挑戦がこれからのテーマとなりそうですね。
そうです。私たちの会社の理念は「事業の発展を通じて社員とその家族の幸せを創出する」なんですが、この「事業の発展を通じて」としているのは、やはり社員を幸せにするには、事業が発展していくことが前提なると考えているからです。
事業が発展していくには、どんどん挑戦していかなければいけません。中小企業は外部環境の変化に影響を受けやすいですから、環境変化への対応が重要です。市場環境が変化しても、仕事を安定的に確保できる強い会社とすることで、社員とその家族の幸せを創出していけると考えています。
—これから会社として挑戦したいことはありますか?
もっと先の読める仕事をしたいなと思っています。地質調査や地すべり対策の仕事は仕事量が不安定な面があります。公共事業ですので、仕事量を自分たちでコントロールできない面が強いんですね。
インフラの仕事は年によって売り上げが違ってきますし、世の中の流れとしても、新しいものをどんどん作っていくというより、インフラの維持・メンテナンスの方に重点を置いてきています。その中で、私たちとしては得意分野である井戸のメンテナンスに独自の活路があると考えています。
—会社の挑戦を踏まえて、これからの未来像はどのようなものになりますか?
私たちには10年ビジョンというのがあって「50年後も社員が安心して生活できる市場を島根県に創出する」というビジョンを掲げています。
私たちは、あくまでも島根県の会社なので、島根県で仕事を続けられる環境を作りたいと思っています。島根の会社に入ったはずなのに、勤務地が東京や海外になっていては意味がないですよね。島根で働く人の多くは地元が住みやすい、地元が好き、といった理由から島根の会社を選んだはずですから、島根で働き、島根で暮らしたいと思った人が、それを実現できるような会社を島根県に作っていきたいと思っています。
—その未来像のためにベストミックスが必要なんですね。では、希望する人財、求める人材というのはどんなものがありますか?
人財で言うと基準が5つあります。まずは、会社の理念に共感してくれる人。これは会社のあり方ですから一番大切なことですよね。
2つ目に事業の方向性に興味がある人。例えば、新たに取り組みを始めた地熱・地中熱などの事業に興味があるかどうかです。これから入ってくる人の仕事人生って長いじゃないですか。だから、この会社で長く、充実した仕事人生を送ってもらうには、事業の方向性やビジョンにしっかりと共感してもらうことが大事だと思うんです。そこに共感できなければ仕事も楽しめないですし、長く続けられないですよね。
3つ目は全ての関わる人に感謝できる人。仕事は常にチームで行いますから、協力して結束することが求められます。そこに感謝がないといい仕事はできません。まずは関わる人に感謝することがすごく大切だと思います。
4つ目は提案できる人。お客さんは何をどのようにして解決できるのか提案を待っています。言われるがままに仕事をするのではなく、困りごとや仕事内容を聞いてこちらから提案していく積極性が求められます。
最後の5つ目は、島根が大好きで島根で暮らしたいと思っている人。これからも島根県を拠点に島根県に貢献していこうとする会社ですから、当然ですよね。
これらの5点を読んで、興味が湧いた方はいつでも話を聞きに来てください。一緒に島根県を、会社をそしてあなたの仕事人生をより良いものにしていきましょう!