World Utility株式会社

島根県 松江市

企業に寄り添ったブランディングを

代表取締役 柴山 稔樹さん

今回はWorld Utility株式会社の代表取締役、柴山さんにお話を聞きます。World Utilityという会社名には、”社会の役に立つ”という意味が込められており、クライアントの新たな価値観や文化を創出する“ブランディング”を行うことで、企業に貢献しています。クリエイティブの力によって企業を手助けしたい。そんな想いのある方は、World Utilityの扉を叩いてみてはどうでしょうか。


 

―最初にWorld Utility 株式会社の事業内容を教えてください。

私たちはクライアントの企業価値を1%でも上げることを目標に、総合的なブランディングを行なう企業です。ブランディングとは企業が持つブランドの価値を高め、消費者にとってよりメリットのあるものとすることで、選ばれるブランドづくりをする活動のことを指します。

―県内でも珍しい仕事ですね。どういった職種の方が活躍するんですか?

ブランディングの構築には、様々な役割の方が関わります。企業やサービスの特徴、想いを聞き取り、ブランド価値の調査・分析・具体的な戦略を提案するディレクター。実際にブランディングを表現するために必要なアプリ・システム・Webサイト・ECサイト・VR/ARといったプロダクトの制作を行うエンジニアやデザイナー。これらのプロダクトを制作する上で必要となる写真や動画の撮影を行うカメラマン、文書を執筆するライターなど、それぞれの力を集めて1つのブランドを構築します。

―企業やサービスの魅力を最大化するお仕事なんですね。柴山社長は県内の経営者でもかなりお若いですよね。起業した経緯を教えてください。 

私は学生時代からバンド活動をしており、プロを目指していました。ですが解散などその他様々あり、プロの道を諦めて就職することになります。当時から人と話すことが得意だったので、営業職に絞って就職活動をし、学校に教科書を販売する教材屋に2年間勤めました。

その後、上場会社に転職し、営業に加えて社員のマネジメントも行なっていました。この会社に入って2年目に、バンドマンの頃の友人に誘われ、21歳の時に起業したんです。

―なぜサラリーマンを辞め、起業という道を選んだんですか?

バンドマンの頃から売れたい、攻めたいという熱意を持ってプロを目指していましたが、その気持ちはサラリーマンになってからも色褪せてはいませんでした。そんな時に起業の誘いがあったんです。ミュージシャンと経営者では形が違いますが、仕事を通して自分達を表現できる点においては同じだと思います。

―創業当初からブランディングを手がけていたんですか?

いいえ。経験豊富なエンジニアが入社してくれたことをきっかけに、設立2年目からブランディング会社へと舵を切りました。彼は大阪からUターンしてきたんですが、紹介で会った時に意気投合し、入社してもらいました。彼がディレクターから、Web制作に必要なデザイン、システム制作、撮影のスキルもあるマルチなクリエイターだったので、私たちのできることの幅がかなり広がったんです。

そこからまずWeb制作の仕事を引き受けるようになりました。Web制作の仕事をいただく中で、次第に動画を撮って欲しい、パンフレットを作って欲しいという依頼が増え、総合的なブランディングを行うようになりました。

―World Utilityの行うブランディングの特徴を教えてください。

当社のブランディングは表面上のカッコ良さだけを求めるのではなく、企業の根本を形作る企業文化やビジョン、バリューなどの設計から関わります。企業の本質からブランディングを考えることで、自ずとどんな製作物を作ればいいかがわかるんです。一見関係なさそうな上流工程から関わることで、全ての制作物に企業の血が通った質の高い製作物を作ることができます。

また、ブランディングに関わる業務を全て社内で完結できるのが大きな特徴です。通常、ブランディング構築におけるディレクターの仕事は広告代理店が得意としており、広告代理店は企業のブランディング戦略を元に、プロダクトの制作や写真撮影、文章の執筆を別の下請け会社に外注しています。

そのため、ブランディングを構築するのに様々な企業、人が関わるため、企業とディレクター間で練ったブランディングのイメージが外注企業にうまく伝わらず、思ったような成果が出ないことが多いんです。

それに対し当社の場合はデザイナーやエンジニア、カメラマンも全て社内に所属しているので、難しい伝言ゲームが発生せず、お客様の想いをしっかりと反映したブランディング構築が可能です。

―印象に残っている仕事はありますか?

山陰のとある食品会社の仕事が印象に残っています。この企業は地域でも有名なお菓子を作っていましたが、消費者の高齢化が進んでいたため、新しく若年層向けの商品開発を考えていました。そこで当社が新しいスイーツブランドの立ち上げに協力したんです。店舗名から一緒に考え、観光地に新店をオープンしました。完成後はお客様が多く訪れ、テレビにも取り上げられるほどの人気店になっています。様々な方から愛されるお店を作れたことが嬉しく、印象に残っています。

―従業員の方々はどんな人が多いですか?

現在20名程度の会社ですが、その半分程度がもと音楽関係者という異色な会社です(笑)。一番若い社員が22歳で、最年長の社員は35歳、平均年齢は28歳程度です。県内でもかなり若い会社だと思います。時給が出るインターン生も活躍しており、高専生から大学院生まで、9名のインターン生が在籍しています。インターン生は当社や取引先のメディア設立に向けた、ライター業務やプランニング業務を主に行っています。

―若者が多い環境の中で、工夫していることがあれば教えてください。

会社が成長するためには、社員に無理をさせず、気持ちよく働いてもらうことが重要です。そこで当社は完全分業制を敷いています。他社だとデザイナーやエンジニアもお客様の打合せに同席するんですが、それが嫌で辞める方って意外と多いんです。だったら本来イメージしていた得意な専門分野に集中して実力を発揮してもらった方がいいと思い、完全分業体制を敷きました。

―その他にも社員が気持ちよく働くために行なっていることはありますか?

社員のライフプランに合わせて働き方を3つ用意しています。それぞれキャリア型、ワークライフバランス型、兼業型です。兼業型は個人事業主向けで、事前に取り決めた出勤日数以外は、自身の仕事をやってもらうという形です。当社から独立した社員などが利用しています。

ワークライフバランス型は定時で働くという形態で、確実にプライベートの時間を確保できるようにしています。子供の体調が悪い場合の早退や、在宅勤務も認めています。

キャリア型は仕事優先する形態で、キャリアアップを目指している方やバリバリ働きたい方に向いています。子育て中はワークライフバランス型で働き、子育てが終わればキャリア型に切り替えも可能です。それぞれが自分のライフプランに合わせて働き方を選んでいるので、ミスマッチが起きません。そのおかげで離職率もかなり低いです。

―課題はありますか?

将来的に社員の平均年齢が上がってしまうことを危惧しています。現在は同世代が多いので、年数の経過とともに平均年齢が上がってしまいます。そうすると会社に新しい風が吹かず、価値が下がってしまう可能性があるので会社の規模を拡大し、さらに下の世代の仲間を増やして行かなくてはいけません。そのためには売上増加が必須なので、10年で売上5億を目指しています。また、より多くの社員が働けるように、新しい本社を建設中です。

―どんな本社を建設されるんですか?

松江市の国道沿いに1000平米を超える本社を建設中で、2021年6月に完成します。島根のシンボルになるような、クリエィティブでかっこいいオフィスを目指し、既存の建物をフルリノベーションしました。国道沿いの目立つ場所に新しく綺麗なオフィスを作ることで、島根県にも元気があって面白いことをしている会社があるぞ、と発信していきたいと考えています。

―それは完成が楽しみですね!人材はどのように増やしていく予定ですか?

私は当社の社風にフィットし、仕事を面白いと感じてくれる人でなければ一緒に働きたくありません。そのため、募集方法も周りの企業と違います。当社はハローワークや求人サイトを使わず、自社HPを中心に当社の価値観やビジョン、具体的にどんな人を求めているのかといった情報を公開し、そこからの応募や、社員からの紹介で人を集めています。

―なぜそのような採用手法なんですか?

私たちがお客様に提供するブランディング構築を自社で実践しているんです。当社のHPを見れば私たちがどんな仕事をして来たのか、ビジョンやミッションも全てわかるようなデザインにしています。あらかじめ当社のことをよく知った上で入社するので、社員は共通するところが多く、ギャップの少ない採用が可能です。

―自分たちが実践することで、提供するサービスへの信頼も増しますよね。最後にビジョンを教えてください。

当社のビジョンは「志高き者すべてが平等に挑戦できる世界を作る」というものです。日本の企業は育ちや学歴、経験といった仕事に関係ない部分で判断されてしまう要素が多く、そのせいで優秀な人材の採用機会を失っていると思います。

だからこそ、この会社を働きたいという熱意があれば、出自も学歴も関係なく活躍できる会社にしたいと考えています。また、ブランディング会社はまだまだ少ないので、ブランディング会社という存在を明確にするための新会社を設立する予定です。業界を牽引する企業を目指し、これからも突き進んで行きます。