「最初は辛い時期もありました。でも地域の方々が支えてくれたおかげで乗り越えてこれたんです」そう語る安達さんはコミュニティケア(以下、コミエア)を創業したメンバーの1人で、現在は所長を務めています。地域とコミケアの関係性の深さがわかるインタビューになりました。
―仕事内容を教えてください。
私は所長として、スタッフのマネジメントがメインの業務です。スタッフの訪問予定を組んだり、教育指導や、個別の相談に乗ったりしています。またスタッフと共に、利用者さんの病気の状態を理解したり、提供するケアの方向性を決めていくための会議を週1回以上開いています。もちろん私自身も実際に利用者さん宅を訪問し、ケアを提供しています。
―安達さんはコミケアを創業したメンバーの1人ですよね。元々はどんな仕事をしていたんですか?
私は実家がある雲南市にUターンする前は広島の病院で勤めていました。広島の病院をやめようかなと悩んでいる時に雲南市が若者の支援に力を入れていて、地域課題の解決にチャレンジする方が多いという話を聞いたんです。それだけ盛り上がっている地域ならば、自分も楽しんで働けるんじゃないかと思いUターンしました。そこで、同じ思いの創業者メンバーと出会い、3人で一緒に起業したんです。
―偶然の出会いってすごいですね。3人とはいえ、起業に不安はなかったんですか?
最初は不安でしたね。雲南市は高齢化も進み、訪問看護は必要だけれど、地元の人間でない私たちがうまく地域に溶け込んでいけるのか、私たちの居場所なんてないんじゃないか、そんな悩みで頭がいっぱいでした。
でも周りの方にすごく救われたんです。創業以来、ご近所さんや地域自治組織、行政の方などが会うたびに「困ってない?大丈夫?」と優しく声をかけてくれて。雲南市の市長さんからは「失敗してもいいから頑張れ、雲南のお父さんだと思ってなんでも相談してくれていいから」というあたたかい言葉をいただきました。そういった周りの優しさがすごく嬉しかったです。そこからこの地に愛着もわきましたし、応援してくれる皆さんのために頑張ろうと思えたんです。
―素敵な方が周りにたくさんいたんですね。そういった方に支えられ、事業も順風満帆に始まっていったんですか?
いえ、最初は辛くて泣いてしまうこともたくさんありました。今まで病院の看護師としてしか働いてなかったので、挨拶回りや営業なんてやったことないですし、どんなコミュニケーションを取ればいいかも分かりませんでした。皆さん優しいとはいえ、若い看護師が本当に訪問看護ができるのか?と、風当たりが強いこともあったので、つらかったです。
―そういった厳しい環境の中で、どんな工夫をして地域とのつながりを作っていったんですか?
とにかく訪問看護を知ってもらうために地道に活動しました。訪問看護の利用方法とか、在宅で病と付き合いながら生活することの良さを伝えていきました。訪問看護の重要性を伝えつつ、私たちの人となりを知ってもらえるよう、コミュニケーションを密にとることを心がけていました。
―周りの方のあたたかさや地道な活動が実を結んで、軌道に乗ってきたんですね。仕事の好きなところや、やりがいはありますか?
訪問看護は利用者の方とすごく長くお付き合いできるんです。1年とか2年以上といった長いスパンで利用者さんと同じ時を過ごせるので、その人の人生を一緒に歩ましてもらっている感覚があって本当に面白いです。利用者さんとの日々のやり取りの中で、今日も来てくれてありがとうと言われたり、喜んでいる顔を見れることが嬉しく、日々やりがいを感じています。
―人同士が関わる仕事だからこそ、そういったあたたかさが一番のやりがいにつながるんですね。今後の目標はありますか?
まずは従業員を増やして、15人くらい在籍するステーションにしていきたいです。私たちはメディアの取材とか、視察にもよくきてもらえるんですが、就職活動をしている方への情報発信が苦手なんです。どうやったら皆に訪問看護の良さが伝わるか、コミケアを知ってもらえるのか、今後はそういった情報発信に力を入れていきたいと思います。
―採用に力を入れる中で、どんな人と一緒に働きたいか教えてください。
人と関わることが好きで、訪問看護をやってみたいと興味を持っている人と一緒に働きたいです。コミケアはいろんなことをしているので、挑戦することを恐れず、一歩踏み出せる人は輝ける職場だと思います。